クーリングオフ基礎知識紹介
何だか納得のいかないまま契約をしてしまった。そのまま契約をするのが損だと思ったのでクーリングオフをした。
これで相手がそのまま呑んでくれればいいのですが、相手が素直に引き下がるとは限りません。「今回はこういう事情がありますからクーリングオフができません」などとごまかしてきたり、「こっちはこれだけの負担をしているのに今更クーリングオフをしようなんて虫がよすぎるじゃないか」と強迫まがいの妨害をしてきたりするなんてこともあります。
こうしたクーリングオフの妨害があった場合にはどうすればいいでしょうか。仮に「そんなものなのか」と騙されてしまったり、怯えてクーリングオフを行使できないでいる間に8日間が過ぎてしまった場合には?
この点については以前までは規定されておらず、時として問題になることもありましたが現在では解決しています。
すなわち、特定商取引法には事業者が不実のことを告げて消費者を惑わしたり、業者が威迫したことで消費者がクーリングオフを行使できなくなった場合には、業者が改めてクーリングオフができる旨の書面を交付してから8日間以内までならクーリングオフができる旨が定められていますので、妨害があった場合には妨害が終わった後に、改めて8日間の期間が与えられることになりますので最初の契約からの期間が経過していてもクーリングオフができるということになります。
では、契約書の中に「クーリングオフの行使期間は5日間とします」などとあった場合にその契約条項は認められるのでしょうか?
これがそのまま認められてしまうということになると、契約書の内容を変えることでいくらでもクーリングオフの権利が制限されることになりかねませんね。
もちろん、そうしたことを認めてしまうと不都合ですから、特定商取引法のクーリングオフに関する規定は当事者の契約をもってしても制限はできないということになっております。従って、契約書の中でクーリングオフ期間を制限していたりしてもそれは効力を有さず、仮に契約書内容をたてに「クーリングオフはできない」と業者が言った場合にはそれはクーリングオフ妨害ということになるわけです。
ただし、このクーリングオフ条項に対する特定商取引法に対する態度は業者の横暴を許さないという点に力が置かれていますから、消費者に有利な形での条項を盛り込むことは法律の意図と反しないので有効と見られています。例えば「クーリングオフ期間は15日とする」とか、「電話でのクーリングオフも認める」などです。
それでは、例えばリフォーム契約などを交わした場合に翌日から人夫などがやってきて作業を始めた場合にはクーリングオフができるでしょうか。このような場合には「もうこっちは負担しているんだから、クーリングオフをするならその分の負担はどうにかしてくれよ」などと反論される可能性もあるかもしれません。
結論から言えばこのような場合でもクーリングオフはできますし、逆に家の一部を解体していたりしていれば「元に戻せ」ということもできます。
確かに一見すると業者は負担をしているのですが、業者側は通常クーリングオフの存在を認識しているはずですから、それを行使されても「想定内だろう」ということになります。また、そもそもクーリングオフの期間は8日間なのですから、クーリングオフで予期せぬ負担を被るのが嫌なのであれば9日目から工事をすれば済むだけの話だからです。