クーリングオフ基礎知識紹介
ところでクーリングオフって何?
クーリングオフとは、法令上の規定などを根拠として、一定期間内において消費者に認められる一方的・無条件に解除することをいいます。
クーリングオフは、特定商取引法、割賦販売法、宅地建物取引業法などの法律に基づくもののほか、約款や個々の業者の契約条項等により規定されるものもあります。
民法上、契約は、申込をした者と承諾した者との意思表示の合致により成立するものですから、債務不履行がある場合や、原則として、成立した契約を撤回・解除することはできません。
しかし、消費者と事業者の間には商取引にあたって、得られる情報の質・量や、交渉力の面で大きな差があることから、消費者・事業者間における実質的な公平をはかるために設けられた制度がクーリングオフです。
したがって、クーリングオフするにあたって特別の理由は必要ありません。
また、たとえ約款などで業者との間でこれに反すると取り決めを行っていたとしても、そのような消費者にとって不利な条項は無効となった上、改めてクーリングオフすることも認められることとなります。
クーリングオフが可能なもの
クーリングオフが可能なものとしては、まず、特定商取引に関する法律、割賦販売法、宅地建物取引業法などの法律に規定されたものがあります。
クーリングオフは消費者・事業者間のすべての取引に適用されるわけではなく、法律などで定められた一定の販売形態・取引内容における、「指定商品」「指定権利」「指定役務」についてのみ利用することが可能です。
特定商取引法が定める典型的なものとしては、訪問販売・電話勧誘販売による取引などのように、消費者が必ずしも冷静な判断で意思決定したとは言えない場合や、業務提供販売取引・連鎖販売取引・特定継続的役務提供など消費者の経済的負担が過大になるおそれの高い場合があります。
また、事業者団体などが定めた標準約款や、個々の業者の契約条項等で規定されたクーリングオフもあります。これは、「約定クーリングオフ」などと呼ばれます。
この「約定クーリングオフ」については、それぞれの契約で定められた条件にしたがってクーリングオフをすることが可能です。
クーリングオフの効果
クーリングオフの通知は発信した時に効果が生じます。
したがって、消印がクーリングオフ期間内であればクーリングオフは有効です。
業者に通知が届くのはその後でも構いません。また、効果が生じるためには業者の同意は不要です。
消費者がクーリングオフを行うと、次のような効果が発生することになります。
- 消費者が業者等に支払った代金は全額返還されます。
- 原則として損害賠償や違約金を請求されることはありません。
- 原状回復(商品の引き取りなど、もとの状態に戻すこと)にかかる費用は、業者の負担となります。すでに原状回復にかかる費用を支払ってしまった場合は、その代金も請求できます。